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プロ野球におけるエースについて考える
プロ野球を見るときに注目されやすいポジジョンは投手です。
さらに投手の中で一番スポットライトを浴びるのエースと呼ばれる存在です。
そう言われても、エースとそうでない投手との違いがよく分からないという人もいるでしょう。
たしかに定義はありませんし、解説者によって誰が該当するのか判断が分かれるケースも見受けられます。
一般的にどのような存在がエースと呼ばれるのか考えてみましょう。
※当記事は元中日ドラゴンズの大エース、山本昌さんへの取材も行い、情報提供していただきました^^
→山本昌オフィシャルウェブサイト【公式ホームページ】
1.勝ち星が負け数を上回っていること
大前提となるのは勝ち星が負け数を上回っていることです。
1年だけで見ると負け越しているケースがあっても構いません。
さすがに何年も続くと問題ですが、勝っている年の方が多ければ対象外にはならないです。
簡単にいうと複数年で見たときに勝ち越していれば、資格はあると考えても良いでしょう。
ただ勝ち星をいくらあげてもエースと認識されないピッチャーも珍しくありません。
原因となる要素はいろいろありますが、見ていて安心感を得られないことが挙げられます。
このピッチャーが投げるなら大差で負けることはないと信じられことが大切です。
2.逆転負けが少ないこと
また、逆転負けが少ないことも分かりやすい条件といえます。
5点差で勝っていたのに負けるような試合をすると信頼されなくなってしまいます。
安心感というのは視聴者の気持ちのことだけではありません。
チームメイトにも頼られているのが大きなポイントです。
誰が投げるのかによって守っている野手の意識は変わります。
普段から多くの点を取られているのであれば、緊張感は皆無になるといっても過言ではありません。
表向きには言わなくても、最初から勝つことを諦めている人もいるでしょう。
これは決して極端な話ではありません。
プロ野球ではローテーションで投手に投げさせるので、必然的に実力によって勝ち星に差が出てきます。
もちろん10勝以上できる人材が豊富であれば、その人たちで回していけます。
ところが実際には、そのようなケースはほとんどありません。
力の劣るピッチャーが必ず一人か二人は入っているものです。
シーズン中に3勝でできれば良いというような計算で、ローテーションに組み込んでいるケースなどもあります。
そのようなピッチャーが登板するときは、必然的に野手の気持ちの中には敗戦の意識が強くなるでしょう。
3.エースは10勝以上の勝ち星を計算されている
反対にエースは10勝以上の勝ち星を計算されているのが一般的です。
視聴者やチームメイトもそれを条件として考えています。
守っている野手の間には試合を落とすわけにはいかないという意識が芽生えます。
その意識を強く持たせられることがエースの条件の一つといえます。
グラウンドには足を引っ張ってはいけないという緊張感が漂っているのです。
しかし一方的に緊張させるだけでは良い投手とはいえません。
野手が守りやすい状況を作り出せることもとても重要な素養といえます。
たとえば投球するリズムは野手の守りやすさに大きな影響を与えます。
投球の間隔が長いと守備の時間が長くなって、疲労がたまりやすくなることがデメリットです。
集中力を保ちにくいのでエラーが増えてしまうことも懸念されます。
それに対してテンポよく投げていくと、野手は守備のリズムをつかみやすいです。
守っている時間が少なくなるので疲労もたまりにくく、攻撃をするときにも全力を尽くしやすくなります。
またテンポが良いことは相手を威圧することにもつながります。
相手の気合いにのまれずに自分のペースで投げていという印象を与えられるからです。
4.短いスパンで投げられる肩を持っていること
その他にもエースと認識される条件は多くあります。
短いスパンで投げられる肩を持っていることも重要です。
普段はローテーションを守って長い間隔で投げているケースも珍しくありません。
ところがクライマックスシリーズや日本シリーズでは、その間隔を無視して早く回ってくることも多いです。
たとえば日本シリーズにおいて、エースが投げて敗戦した翌日に、ストッパーとして登板を命じられるという例もありました。
頼りになる存在なので、大事な局面では出番が多くなることは仕方がありません。
しかし、肩が弱いと期待に応えられないことが多くなります。
これは高校野球をイメージすると分かりやすいでしょう。
チームを背負って投げるピッチャーは連投するのが一般的です。
地方大会から数えると、10試合以上続けて投げるようなケースも少なくありません。
それが原因で選手生命を縮めることを心配する声が多いのも事実です。
球数制限をするのが当然のメジャーリーグの影響を受けて、先発と中継ぎというように役割分担する方針のチームも増えています。
しかしエースが完投するのは、日本の野球では依然として期待される醍醐味の一つです。
そのため連投ができるような強い肩を持っていることも重要な素養と考えられます。
さらに能力だけでなく高いカリスマ性を持ち合わせていることも大事です。
歴代の各球団のエースの中には、言動や人間性においても逸話が残っている人が多く見受けられます。
最終更新日 2025年7月20日 by wannya