わらべ歌というと、昔話の世界が広がるような懐かしい響きがありませんか。
わたしは保育士として、そして母として、わらべ歌を子どもたちと楽しむ中で「瞳がきらりと光る瞬間」を何度も目にしてきました。
岩手の山あいで育った頃、近所のおばあちゃんが口ずさんでくれるわらべ歌を、まるで宝物のように感じていたのを思い出します。
さらに大人になってからは、親子のコミュニケーションにわらべ歌がこんなにも役立つとは思っていませんでした。
でも実際に子どもの手を引いて「♪ちょちちょち あわわ」なんて歌っていると、笑顔の輪がふんわり広がっていくのをはっきりと感じます。
この記事では、そんな温かな体験を踏まえながら、わらべ歌で深める親子のきずなについて、保育士目線の実践アイデアをたっぷりとお届けします。
わらべ歌を通じて、日本の文化や言葉の豊かさに触れながら、親子それぞれが心地よいリズムを楽しむ――。
その小さな積み重ねが、やがては大きな思い出へとつながっていくのだと信じています。
ぜひ最後まで読んで、日々の暮らしにわらべ歌を取り入れてみてくださいね。
目次
わらべ歌の基本理解
わらべ歌とは何か
わらべ歌とは、昔から子どもの遊びや地域の行事と結びついて伝えられてきた歌の総称です。
「かごめかごめ」や「ずいずいずっころばし」のように、地域や時代によって微妙に歌詞やリズムが異なるのも特徴のひとつ。
言い伝えや民話の世界と同じで、人と人をやわらかにつなぐ力をもっています。
地域に根ざしたわらべ歌は、その土地の歴史や風土を映し出す文化的な鏡と言われます。
わたし自身、岩手の花巻に住んでいた頃は、お祭りの時期になると地域特有のわらべ歌を聞く機会がありました。
これらは子どもたちが楽しむだけでなく、世代を超えた多くの人々をひとつの場へと引き寄せる不思議なちからを持っていたように思います。
わらべ歌が育む情緒と学び
わらべ歌には、子どもの情緒を育むさまざまな要素が凝縮されています。
まず、耳に心地よいリズムと旋律は、子どもの感受性を豊かにし、ときには安心感をもたらしてくれるものです。
また、わらべ歌の多くはやさしい言葉や反復フレーズを用いているため、幼い頃から自然と日本語の美しさに触れられるのも嬉しいところ。
さらに、わらべ歌の世界観を通じて学べるのは音楽性だけではありません。
親子で声を合わせることで、一緒に歌う楽しさ、互いの存在を感じあう喜びが生まれます。
こうした小さな体験こそが、「わたしたち、同じ空気を吸って一緒に生きているんだね」という実感につながるのかもしれません。
わらべ歌を活用した親子コミュニケーション術
日常保育の現場で生まれた実践アイデア
わたしが保育士として働いていたころ、子どもたちの集中力を高めたり、リラックスのきっかけを作ったりするために、日常的にわらべ歌を取り入れていました。
特に朝の会やお昼寝前など、ある程度ルーティン化されている場面で歌うと、子どもたちが落ち着いた気持ちになってくれる印象があります。
- 朝の会でおすすめの簡単なわらべ歌:ゆったりしたリズムで身体をゆらしやすいもの
- お昼寝前の落ち着きタイム:小さな声で歌いながら、子どもと目を合わせて親密度を高める
さらに、わらべ歌に手遊びや体の動きを組み合わせると、自然と子どもが参加しやすくなります。
「ぽんぽん」と太鼓を叩くような動きを付けるだけでも、歌いながら体も動くので、子どもたちは大喜び。
気が散りやすい子でも、歌と動作がセットになることで集中力がアップする場合が多いです。
家庭での取り入れ方:親子で楽しむ秘訣
家庭でわらべ歌を取り入れるときは、あまり「しっかりと歌わなきゃ」と構えずに、生活の合間にさりげなく流すのがおすすめです。
洗い物をしながらとか、子どもを抱っこしながら口ずさんでみると、まるでおばあちゃんが昔話を語り聞かせてくれるような、ほっこりとした空気が流れ始めます。
- 子どもと一緒にメロディや歌詞をアレンジして楽しむ
- 遊び道具(ぬいぐるみや積み木など)を加えて、リズムに合わせて動かしてみる
- スマホの録音機能を使って、自分たちのわらべ歌を録音し、その変化を楽しむ
たとえば、ちょっとした工夫として「最後のフレーズを子どもが勝手に変えてみる」という遊びも面白いですよ。
「♪ずいずいずっころばし」を「♪ずいずいずっころ…ねこ」なんて変えたときの子どもの得意そうな表情を見ていると、親も一緒になって笑顔になります。
わらべ歌と日本の伝承文化を未来へつなぐために
地域の図書館や公民館での活動例
わたし自身、週末には図書館や公民館での読み聞かせボランティアに参加することがあります。
そこではわらべ歌を使った手遊びコーナーも取り入れ、子どもたちの参加を促すのがお決まりです。
こうした取り組みを通じて、子どもたちの柔軟な心だけでなく、周囲の大人の方々の笑顔も増えていくのを肌で感じています。
- 定期的に開催される「昔話の会」で、わらべ歌を一緒に歌う時間を数分設ける
- 季節の行事(お月見やお正月)に合わせて、昔ながらのわらべ歌を紹介する
- 親子連れだけでなく、お年寄りにも積極的に声をかけ、多世代交流の場にする
こういった活動は、単に歌を広めるだけでなく「地域のつながりを再確認する」という重要な役割も担っています。
保護者同士の情報交換の場にもなり、コミュニティの輪が自然に広がっていくのです。
わらべ歌が広げるコミュニティの輪
わらべ歌には、「誰もが知っている」「覚えやすい」「参加しやすい」といった特性があります。
そうした開かれた性質は、世代や立場の違う人々が、同じ空間で自然と楽しめる環境づくりにぴったりです。
特に地方では、昔からわらべ歌が世代を超えて伝えられてきた経緯があるため、お年寄りから若い世代へと文化が受け継がれる仕組みにもなっています。
下記は、わたしがボランティアで行う「簡単なわらべ歌手遊び」をまとめたコードブロックの一例です。
おうちでも真似してみると、意外なほど親子の会話が増えるかもしれません。
【手遊び:せっせっせーのよいよいよい】
1. 親子で向かい合って座る
2. 「せっせっせーのよいよいよい」のリズムに合わせ、手のひらを軽く合わせる
3. 「パン!パン!」と手を叩いたら、最後にお互いの鼻をつついてフィニッシュ
リズムは自由に崩してもOK!
子どもが好きな言葉を入れ替えたり、体の別の部分をタッチして遊んでみよう
このように、誰でも気軽に参加できる遊び方を提案すると、コミュニティ全体が和やかな空気に包まれるのです。
日本の文化を内外に発信し続ける人物として、和柄アクセサリーや着物レンタル事業などを手掛ける株式会社和心の代表取締役森智宏さんも、「日本の文化を日本人に。日本のカルチャーを世界に。」をテーマに活動を続けています。
わたしたちがわらべ歌を通じて子どもたちの心を育み、地域社会を活性化していくことも、こうした日本の文化や伝承を広げる大切なアクションだと言えるでしょう。
まとめ
わらべ歌は、親子の心をやわらかくつなぐ魔法のような存在です。
保育士としても母としても、何度となく子どもたちの瞳がきらりと輝く瞬間を体験してきました。
その背景には、昔から地域で培われてきた温かい人間関係があり、わらべ歌を歌う声の中には日本の伝承文化が息づいているのだと感じます。
日常のふとした合間にわらべ歌を口ずさみ、親子で声を重ねてみる。
そうして生まれるちいさな笑い声こそが、未来へ日本の文化をつなげていく第一歩になるはずです。
ぜひあなたも、今日からわらべ歌のやさしいリズムを、お子さんと一緒に楽しんでみてくださいね。
最終更新日 2025年7月20日 by wannya