「洋上風力発電の仕組みが知りたい」
「Influxの星野敦社長の取り組みに興味がある」
「日本は洋上風力発電について今後どうするのか知りたい」
洋上風力発電は海の沖合に風車を建設し、風力発電を行う再生可能エネルギーの1つです。
陸上風力発電との基本的な構造・発電の仕組みはほぼ同じなのに対して、陸上風力発電と比較すると、風車を設置する海上は土地や道路の制約が発生しないため陸上よりも大型風車の導入がしやすいことや、建物・道路などの障害物がないこと、陸上よりも風が強く安定しているので効率よく発電が行えること、景観や騒音に関するトラブルが発生しないと行った様々なメリットが挙げられます。
風力発電自体は風が強い地域である欧州で盛んに導入されてきた再生可能エネルギーであり、近年は国家の強力なサポート体制が整ってきていることもあり急速に洋上風力発電の導入が進んでいます。
目次
洋上風力発電の導入が進んでいるイギリス
国際エネルギー機関では欧州連合と中国が洋上風力によりそれぞれ127GW、107GWの電力の生産を目指していることがわかっています。
海外で特に洋上風力発電の導入が進んでいる国の一つがイギリスであり、日本と同じ海に囲まれた島国である共通点を持ちます。
イギリスでは、2020年に世界最大規模の洋上風力発電システム「HornseaOneプロジェクト」が本格始動し、ヨークシャー海岸沖で174基の風力タービンが風を受け手回転し現在100万世帯以上分に相当する電力を供給している実績があります。
現在イギリスにおける洋上風力による発電量は世界一の規模となっており、化石燃料からの脱却を目指す世界の先駆けになります。
イギリスは10年前まで電力の約40%を石炭による火力発電に頼っていましたが、現在は石炭における火力発電量は約2%まで減少しておりイギリス政府は石炭依存を段階的に廃止していき、2024年までにゼロを目指しているなど、全体の電力の44%を再生可能エネルギーから供給しています。
同じ島国である日本も、国土の周りは海に囲まれていることから洋上風力による発電方法は注目されていおり、実際に本格的なプロジェクトも開始されています。
陸上風力に比べて建設費や維持コストがかかる
ただメリットが多い洋上風力発電にも課題は多く、陸上風力に比べて建設費や維持コストがかかることが挙げられます。
洋上風力の場合陸上よりも風車を取り付ける場所に、しっかりとした基礎部分と洋上変電設備を必要とします。
建設工事も陸上よりも手間とコストがかかることや、リスクが伴うため十分な技術を持つ人材を確保しなければいけません。
また日本と欧州は気候と海象条件が異なり、イギリスは浅い海域が多いことで着床式が向いているのに対して、日本は水深50~200mの大陸棚に囲まれているため、着床式を導入するとコストが高くなってしまうデメリットがありました。
そこで遠浅の海が少ない日本で注目されているのが、従来の着床式ではなく浮体式技術です。
この方法は発電機を海底に固定することなく海上に浮かせる方法であり、水深が深い場所でも導入することができるとして次世代のシステムとして期待されています。
日本国内での洋上風力発電の取り組み
日本国内での洋上風力発電の取り組みとしては、2019年4月に再エネ海域利用法が施行されました。
国が洋上風力事業のために海域の利用を進める促進区域として、事業予定地を指定すれば洋上風力の建設を進められるようになりました。
2021年時点で日本における洋上風力による発電導入量は約2万kWに達しており、環境アセスメント手続き中の案件ならば1,300万kW以上になるなど、民間企業が積極的に事業参入を行っている状況です。
ただ環境アセスメントにかかる時間は3年~4年と長く、今後の課題としてスムーズな導入方法の確率が求められています。
また世界で既に導入されている洋上風力のコストが平均で平均の8.8円/kWhであるのに対して、日本では平均の13.9円/kWhとまだまだ高くなってしまうことも課題の一つです。
日本政府は洋上風力の導入を促進させるために複数の施策を提言
そこで日本政府は洋上風力の導入を促進させるために複数の施策を提言しており、継続的・計画的な導入の促進と投資の誘発や洋上風力関連産業の育成、中長期的な導入目標と発電ポテンシャル量の提供、日本特有の気象や海象特性に応じた発電設備と維持管理方法の開発などが挙げられます。
そして2020年12月に行われた経済・国土省・民間関係者会議で、洋上風力における電力生成を2030年までに2万kWから10GWまで増やすとし、2045年には最大45GWまで増やす目標を発表しました。
この目標が実現可能となれば日本は世界で3番目に多い発電量となることや、発電コストも2030年~2035年には火力発電よりも安くなる予測も立っているので、日本の長い海岸線や広い海域といった特性を活かし発電が可能になります。
目標を達成するためには陸上風力発電に以前から取り組んでいた企業を中心に、数社で協定を結ぶことや海外企業の傘下に入るなとして開発を進める必要があり、特に海外大手企業は日本を有力なマーケットとして捉え、日本法人を立ち上げ開発を推進しています。
まとめ
日本国内でも日立造船などで浮体の新工法によりコスト課題を改善しており、早期の実用化が期待されています。
最終更新日 2025年7月20日 by wannya